・離婚したいけれど、方法がよくわからない
・どのくらい費用や時間がかかるのか心配
・離婚する場合にどんなお金を請求できるのかがわからない
・内縁で婚姻していない場合はどうなるの?
・婚約中でまだ結婚していない場合はどうなるの?
このようなお悩みをお持ちの方は、以下をご覧ください。
第1 離婚について
1.離婚するための手続・方法
離婚するための手続・方法には、①協議、②調停、③訴訟があります。
①の協議は、裁判所を利用しない方法で、当事者間の話合いです。
②の調停は、家庭裁判所で話し合う手続で、裁判所によって選任された調停委員が話し合いを取り持ちます。
裁判所を利用しますが、話し合いですので、当事者が合意しなければ離婚はできません。
③の訴訟は、家庭裁判所で双方が主張(言い分を伝える)や立証(言い分の裏付けを示す)を行う手続です。
当事者が訴訟を取り下げない限り、裁判所が離婚請求を認めるか否かの判決をします。
ただし、途中で話し合いをして離婚の合意をすること(和解離婚)もあります。
なお、原則として②の調停を行った後でなければ利用できません。
2.離婚するための費用
①の協議は、代理人を選任せずに行うのであれば、話し合いのために必要な実費(電話代など)以外必要ありません。
弁護士を代理人に選任して行う場合には、弁護士費用がかかります。
②の調停は、そのほかに裁判所の手数料(1,200円)や郵便切手(裁判所により異なりますが1,000円前後)が必要になります。
③の訴訟では、裁判所の手数料は最低でも13,000円、郵便切手は5,000円程度となります。
裁判所の手数料については、財産分与や養育費、慰謝料を求めるかどうか、求める慰謝料の金額などにより異なります。
以上の手続のための弁護士費用としては、着手金20万円~30万円、報酬金20万円~30万円が多いようです。
ただし、着手金は、これらの手続ごとに必要になるのが一般的ですが、①の協議から②の調停を続けて依頼する場合や、②の調停から③の訴訟を続けて依頼する場合には、減額や免除されることもあります。 なお、報酬金は、複数の手続を利用した場合でも、最後の手続の分だけとなるのが通常です。
3.離婚するのにかかる期間
①~③のいずれについても、ケースバイケースです。
①の協議については、膠着状態が長引くようであれば、②の調停を利用することで早期の解決に至る可能性があります。
②の調停については、1度の調停期日(裁判所で話し合いを行う日)で解決することもあれば、10回を超える場合もあります。
調停期日はおおむね1か月に1回くらいしかありませんので、10回だと1年くらいかかることになります。
話し合いが平行線をたどるばかりで解決の目途がない場合には、裁判所側で調停を不成立(不調)として終わらせることがあります。
調停手続が長引くばかりで解決の目途がつきそうになければ、③の訴訟を利用することで早期の解決に至る可能性があります。
③の訴訟については、裁判所で主張や立証などを行う日(口頭弁論期日など)がおおむね1か月に1回くらいしかありません。
数か月で終わることもあれば数年かかることもあります。
4.離婚に関連する諸問題
(1) 婚姻費用
夫婦のうち収入の少ない方は、収入の多い方に、離婚するまでの間の自分と未成熟の子の生活費(衣食住に必要な経費、教育費、医療費など)の分担を求めることができます。これは別居している場合に限りません。
婚姻費用の分担額は、夫婦の話し合いで決めることができますが、決められない場合には調停や審判で決定することができます。
調停や審判で決定する場合には、裁判所作成の婚姻費用算定表・算定方式に基づいて決定されるのが通常で、夫婦双方の収入の額や子の年齢・人数によって金額が異なります。ちなみに、後述の(3)の養育費と比べると、未成熟の子の生費だけでなく、夫婦のうち収入の少ない方の生活費も含まれるため、より高額になります。
なお、婚姻費用の分担を請求せずに別居した場合、かなりの期間が経った後に別居前の婚姻費用の分担を請求することはできません。別居後速やかに婚姻費用の請求をしておくことが必要です。
また、離婚の原因を作ったことに責任のある方(有責配偶者)からの婚姻費用分担の請求は認めてもらえなかったり減額されたりする場合があります。
(2) 親権者の指定
未成年の子がいる夫婦が離婚する際には、親権者(子の法律行為の代理権を持つ親)や監護親(子の監護養育を行う親)を決める必要があります。
協議離婚の際に話し合いで決めることができますが、決められない場合には調停や訴訟で決定することになります。
調停や訴訟で決定する場合には、お子さんの年齢、兄弟姉妹の有無、別居中の夫婦のどちらがお子さんの監護養育を行っているかといった諸事情を考慮して親権者が指定されます。
(3) 養育費
未成熟の子(未成年の子に限られず、20歳未満、22歳未満の子なども含まれる場合があります。)がいる場合、監護親は非監護親(監護親でない方の親)に対し、養育費(子が経済的・社会的に自立するまでに要する衣食住に必要な経費、教育費、医療費など)を請求することができます。
養育費の額は、親同士の話し合いで決めることができますが、決められない場合には調停や審判で決定することができます。
調停や審判で決定する場合には、裁判所作成の養育費算定表・算定方式に基づいて決定されるのが通常で、両方の親の収入の額や子の年齢・人数によって金額が異なります(「子1人当たり3万円が相場」というようなことがよく言われているようですが、そのようには言えません。)。
また、離婚後の養育費の請求、つまり養育費について取り決めをせずに離婚した後に養育費を請求することも可能です。この場合の養育費は、請求後の将来の養育費に限らず、請求前の過去の養育費も含まれます。
また、養育費について取り決めをしたのに支払ってもらえない場合に調停や審判で養育費を請求すること可能すが、5年(調停や審判で決定された場合は10年)経つと相手方には請求を拒む権利が生じます。
なお、離婚の原因を作ったことに責任のある親(有責配偶者)であっても、養育費の請求は可能です(婚姻費用の場合は異なります)。
(4) 財産分与
婚姻中に夫婦が協力して築いた財産については、名義を問わず、夫婦の共有財産として、離婚時に分配するよう求めることができます。
なお、婚姻前から夫婦の一方が有していた財産や、婚姻関係が破綻した後に夫婦の一方が築いた財産については、分配を求めることはできません。
財産分与の割合や額は、夫婦の話し合いで決めることもできますが、決められない場合には調停や訴訟で決定することができます。
調停や訴訟で決定する場合には、分配の割合は、原則として1対1(50%対50%)とされます。
なお、ローンが残っている不動産などがある場合、その時価相当額を半分ずつ分配するわけではなく、残っているローンを考慮して分配額を決定するのが通常です。
(5) 慰謝料
離婚の原因が夫婦の一方の不倫(不貞)やDV(ドメスティックバイオレンス)であるような場合、他方の配偶者は離婚の原因を作ったことに責任のある方(有責配偶者)に慰謝料を請求することができます。
また、離婚の原因が不倫(不貞)である場合には、不倫相手にも落ち度があれば慰謝料を請求することができます。この場合、不倫した配偶者と不倫相手の両方に慰謝料を請求することも、どちらか一方だけに請求することも可能です。
慰謝料の額は、夫婦間や不倫相手との話し合いで決めることもできますが、決められない場合には調停や訴訟で決定することになります。
調停や訴訟で決定する場合には、夫婦の婚姻期間の長短や、子の年齢・人数、離婚の原因の悪質さの程度(不倫の回数・期間、暴力の回数・期間など)などを考慮して金額が決定されます。
第2 内縁関係の解消について
籍を入れていないものの夫婦同様の共同生活をしている内縁関係の解消の場合も、離婚の場合と異なり親権者の指定は問題となりません(もともと母だけが親権者だからです。)が、それ以外は離婚の場合とほぼ同様です。
第3 婚約(婚姻予約)の解消について
婚約を解消する場合にも、その原因について一方に責任(一方の浮気や暴力など)がある場合には、離婚の場合と同様に慰謝料を請求することが可能です。
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